施主にとって重要となる注文住宅の図面

検討・設計を経て完成するまで、注文住宅では実物の家を見られる機会はありません。建売住宅のように完成した家を事前に目にすることはできないのです。そこで大切になってくるのが図面です。図面は完成形のイメージを捉えるのに必要なだけでなく、要望が施工業者に正確に伝わっているかを判断するための材料ともなります。この記事では、施主にとって重要となる注文住宅の図面について解説します。

注文住宅の図面の種類は？

注文住宅の図面にはさまざまな種類があり、それぞれ目的や確認できる内容が異なります。ここでは、注文住宅の各図面について、記載されている内容や目的、確認できる項目を解説します。

基本設計図

基本設計図は注文住宅建設の検討を始めたときに、施主のイメージに基づいて作製される基本的な図面です。施主の希望をもとに、デザイン・構造・設備・空間など基礎になる部分について省略したり記号化したりしながら図面を作製します。

施主とのイメージの共有や情報のやり取りが主な目的なので、図面には敷地条件や法規制などの情報も含まれています。

配置図

配置図は敷地に対しての建物の配置を、真上から見た状態で表した図面です。目の高さからではわからない、家と道路や塀などとの位置関係や、家・庭・ガレージの広さや配置などが確認できます。

隣近所との距離や日当たり、家の外からの視線、玄関扉までの経路なども図面から読み取れます。

平面図

平面図は各部屋と収納・廊下・設備などの配置や広さがわかる図面のことです。一般には間取り図とも呼ばれており、最も目にする機会の多い図面です。不動産情報サイトなどで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

この図面からは間取りが希望どおりになっているか、動線がスムーズか、などが読み取れます。

立面図

立面図は建物の外観を、東西南北の各方向から見た様子を表す図面です。玄関扉や窓、フェンスやベランダ、外壁などのデザインが希望のイメージどおりになっているかが一目で確認できます。

完成後の家をイメージしやすいので、注文住宅を建てる際は目にする機会の多い図面です。

断面図

断面図は建物を垂直に切断した状態を表した図面で、普段は目にすることができない建物内部の様子がわかるものです。

各部屋の天井の高さ・床の厚み、窓やドアの位置、軒のサイズなどが読み取れます。平面図では表現することが難しい室内の開放感やバランスもチェックできます。

実施設計図

実施設計図は、基本設計図よりも詳細な内容が記載された図面で、基本設計図を作製し、家の概要が決まった後で作製されます。実際の施工は、この実施設計図に基づいて行われます。

実際の施工の際に用いる図面なので、柱や梁などの建物の構造部分を表した「構造図」、電気設備やガス設備、給排水設備などの取り付け位置を表した「設備図」などに細分化されています。

確認申請図

確認申請図は建築基準法や条例などの基準を満たしているか確認するための図面です。建物を建てる際は、役所や民間の建築確認検査機関に確認申請図を提出する必要があります。

確認申請図をもとに、所定の機関で建築基準法や条例などの基準を満たしているかの確認を行います。

工事契約図面

工事契約図面は、施主と施工業者の間で契約締結する際の最終的な図面です。この図面をもとに工事費が決定・請求されます。家の仕様や工事内容、家の購入金額を最終決定するための図面なので、しっかりチェックすることが大切です。

竣工図

竣工図は工事完了時の建物の状態を表す図面です。工事中に設計変更があり、設計図を修正した場合は、その変更内容を反映した設計図が竣工図となります。建物の完成した状態を図面にしたものなので、将来リフォームやリノベーションする際には重要な参考資料です。

注文住宅の図面は施主にとっても重要

注文住宅の図面は設計者や施工業者だけでなく、施主にとっても重要なものです。図面にはさまざまな種類があり、異なる目的のため作製されています。

注文住宅では、実際に家が完成するまで、家のさまざまな仕様やデザインを知る手がかりは図面しかありません。

各図面の役割を理解し、設計者や施工業者にしっかり自分たちの希望が伝わっているか、確認しながら家づくりを進めていきましょう。

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